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await using

Limited availability

This feature is not Baseline because it does not work in some of the most widely-used browsers.

await using 宣言は、非同期的に破棄されるブロックスコープのローカル変数を宣言します。 const と同様に、 await using で宣言された変数は初期化が必要であり、再代入できません。変数の値は nullundefined、または [Symbol.asyncDispose]()[Symbol.dispose]() メソッドを持つオブジェクトのいずれかでなければなりません。変数がスコープ外になると、リソースを解放するために、オブジェクトの [Symbol.asyncDispose]() または [Symbol.dispose]() メソッドが呼び出され待機されます。

構文

js
await using name1 = value1;
await using name1 = value1, name2 = value2;
await using name1 = value1, name2 = value2, /* …, */ nameN = valueN;
nameN

宣言する変数の名前。各変数名は、 JavaScript で有効な識別子でなければならず、構造分解バインドパターンであってはなりません。

valueN

変数の初期値。有効な式であれば何でも指定可能ですが、その値は nullundefined、または [Symbol.dispose]()[Symbol.dispose]() メソッドを持つオブジェクトのいずれかでなければなりません。

解説

この宣言は、awaitusing の両方が使用可能な場所でのみ使用できます。これには以下のものがあります。

await using は、変数のスコープ(ブロック、関数、モジュールなど)の存続期間に紐づく非同期破棄可能リソースを宣言します。スコープが終了すると、リソースは非同期的に破棄されます。その構文はやや分かりにくいかもしれません。 というのも、変数が最初に宣言された時点では await は待機効果を持たず、変数がスコープ外に出た時にのみ効果を発揮するからです。

変数が最初に宣言され、その値がヌル値でない場合、オブジェクトからディスポーザーが取得されます。まず [Symbol.asyncDispose] プロパティが試行され、[Symbol.asyncDispose]undefined の場合は [Symbol.dispose] が試行されます。いずれのプロパティにも関数が含まれていない場合、TypeError が発生します。特筆すべきは、[Symbol.dispose]()メソッドがasync () => { object[Symbol.dispose](); }のような関数にラップされる点です。これは、返値がプロミスであっても、そのプロミスが待機されないことを意味します。このディスポーザーはスコープに保存されます。

変数がスコープ外になると、ディスポーザーが呼び出され待機状態になります。スコープ内に複数の using または await using 宣言が含まれる場合、宣言の種類に関わらず、すべてのディスポーザーは宣言の逆順で順次実行されます。すべてのディスポーザーの実行は保証されます(try...catch...finally 内の finally ブロックと同様です)。破棄処理中に発生したエラーはすべて(該当する場合、スコープ終了の原因となった初期エラーを含む)、 1 つの SuppressedError 内に集約されます。それぞれの先行する例外は suppressed プロパティとして、後続の例外は error プロパティとして保持されます。破棄処理完了後にこの SuppressedError が発生します。

この変数は null または undefined の値を取ることが許されるため、リソースはオプションとすることができます。このスコープ内で少なくとも 1 つの await using 変数が宣言されていれば、変数が実際に null または undefined の値を持っていたとしても、スコープ終了時に少なくとも 1 つの await が実行されることが保証されます。これにより、破棄処理が同期的に発生してタイミングの問題を引き起こすのを防ぎます(await の制御フローへの影響については await の制御フローへの影響を参照してください)。

await using はリソース管理を字句スコープに結び付けます。これは便利であると同時に、時に混乱を招くこともあります。期待通りに動作しない可能性がある例を以下に示します。エラー処理の保証を維持しつつリソースの破棄を手動で管理したい場合は、代わりに AsyncDisposableStack を使用することができます。

より多くの例については、特にスコープベースのリソース管理に関する一般的な注意点について、using も確認してください。

基本的な使い方

通常、await using は、既に非同期破棄可能プロトコルを実装しているライブラリー提供のリソースに対して使用します。例えば、Node.js の FileHandle は非同期破棄可能です。

js
import fs from "node:fs/promises";

async function example() {
  await using file = await fs.open("example.txt", "r");
  console.log(await file.read());
  // `file` がスコープ外になる前に、 `file[Symbol.asyncDispose]()` を
  // 呼び出して破棄され、待機される。
}

file の宣言には 2 つの await 操作が含まれており、それぞれ異なる役割を果たし、両方とも必要です。 await fs.open() は取得時に待機を行います。ファイルが開かれるのを待機し、返されたプロミスを FileHandle オブジェクトに展開します。 await using file は破棄時に待機を行います。変数がスコープ外に出た際に file を非同期的に破棄します。

await usingfor await...of で使用

以下の 3 つの構文はとても混乱しやすいです。

  • for await (using x of y) { ... }
  • for (await using x of y) { ... }
  • for (using x of await y) { ... }

それらが一緒に使えることを知ると、さらに混乱するかもしれません。

js
for await (await using x of await y) {
  // ...
}

まず、await y は期待どおりに動作します。プロミス yawait します。このプロミスは解決時にオブジェクトを返すと予想され、そのオブジェクトを反復処理します。このバリエーションはひとまず脇に置いておきましょう。

for await...of ループでは、 y オブジェクトが非同期反復可能オブジェクトである必要があります。これは、オブジェクトが [Symbol.asyncIterator] メソッドを持ち、そのメソッドが非同期イテレーターを返し、その next() メソッドが結果を表すプロミスを返すということです。これは、反復可能オブジェクトが次の値が何であるか、あるいは非同期操作が完了するまで処理が終了したかどうかさえも、その操作が完了するまで知らない場合に備えたものです。

一方、 await using x 構文では、反復可能オブジェクトから yield される x オブジェクトが非同期ディスポーザーである必要があります。これは、オブジェクトが破棄操作を表すプロミスを返す [Symbol.asyncDispose] メソッドを持つ必要があるということです。これは反復処理自体とは別の問題であり、変数 x がスコープ外に出たときにのみ呼び出されます。

言い換えれば、以下の 4 つの組み合わせはすべて有効であり、それぞれ異なる動作をします。

  • for (using x of y): y は同期的に反復処理され、一度に 1 つの結果を返します。この結果は同期的に破棄できます。
  • for await (using x of y): y は非同期に反復処理され、待機後に一度に 1 つの結果を返しますが、結果の値は同期的に破棄できます。
  • for (await using x of y): y は同期的に反復処理され、一度に 1 つの結果を返しますが、結果の値は非同期的にのみ破棄されます。
  • for await (await using x of y): y は非同期に反復処理され、待機後に一度に 1 つの結果を返します。結果の値は非同期にのみ破棄されます。

以下では、 y の架空の値をいくつか作成し、その使用可能な場合を示します。非同期 API については、 Node.js の fs/promises モジュールを基にコードを実装します。

js
const syncIterableOfSyncDisposables = [
  stream1.getReader(),
  stream2.getReader(),
];
for (using reader of syncIterableOfSyncDisposables) {
  console.log(reader.read());
}
js
async function* requestMany(urls) {
  for (const url of urls) {
    const res = await fetch(url);
    yield res.body.getReader();
  }
}
const asyncIterableOfSyncDisposables = requestMany([
  "https://example.com",
  "https://example.org",
]);
for await (using reader of asyncIterableOfSyncDisposables) {
  console.log(reader.read());
}
js
const syncIterableOfAsyncDisposables = fs
  .globSync("*.txt")
  .map((path) => fs.open(path, "r"));
for (await using file of syncIterableOfAsyncDisposables) {
  console.log(await file.read());
}
js
async function* globHandles(pattern) {
  for await (const path of fs.glob(pattern)) {
    yield await fs.open(path, "r");
  }
}
const asyncIterableOfAsyncDisposables = globHandles("*.txt");
for await (await using file of asyncIterableOfAsyncDisposables) {
  console.log(await file.read());
}

スコープ終了時の暗黙の待機

スコープ内で await using が宣言されると、変数が null または undefined であっても、そのスコープは終了時に常に await を実行します。これにより安定した実行順序とエラー処理が保証されます。詳細については、 await の制御フローへの影響の例を参照してください。

以下の例では、関数が返る際に暗黙の await が発生するため、example() の呼び出しは次のティックまで解決されません。

js
async function example() {
  await using nothing = null;
  console.log("Example call");
}

example().then(() => console.log("Example done"));
Promise.resolve().then(() => console.log("Microtask done"));
// 出力:
// Example call
// Microtask done
// Example done

同じコードを、代わりに同期的な using を使用した場合を考えてみましょう。今回は example() の呼び出しが即座に解決されるため、2つの then() ハンドラーは同じティック内で呼び出されます。

js
async function example() {
  using nothing = null;
  console.log("Example call");
}

example().then(() => console.log("Example done"));
Promise.resolve().then(() => console.log("Microtask done"));
// 出力結果:
// Example call
// Example done
// Microtask done

より現実的な例として、関数への 2 つの同時呼び出しを考えてみましょう。

js
class Resource {
  #name;
  constructor(name) {
    this.#name = name;
  }
  async [Symbol.asyncDispose]() {
    console.log(`Disposing resource ${this.#name}`);
  }
}

async function example(id, createOptionalResource) {
  await using required = new Resource(`required ${id}`);
  await using optional = createOptionalResource
    ? new Resource("optional")
    : null;
  await using another = new Resource(`another ${id}`);
}

example(1, true);
example(2, false);
// 出力結果:
// Disposing resource another 1
// Disposing resource another 2
// Disposing resource optional
// Disposing resource required 1
// Disposing resource required 2

ご覧の通り、 required 2 リソースは required 1 と同じティックで破棄されます。もし optional リソースが冗長な await を行わなければ、 required 2 はより早く破棄され、 optional と同時に破棄されていたでしょう。

仕様書

Specification
ECMAScript Async Explicit Resource Management
# prod-AwaitUsingDeclaration

ブラウザーの互換性

関連情報